衣服でこすれたり、汗でふやけたり、ひっかいたりすることによってバリアーが破壊されると、アレルゲンの侵入はより容易となる。
われわれのグループでは水に溶けたダニ抗原が健常者の健常皮層からも侵入しうることを証明している。 この事実はダニが二次的な増悪因子ではなく、最初の(一次的)感作抗原となりうることを示唆している。
そして汗のたまりやすい部位や皮膚と皮層が触れあう場所で本症の皮膚病変が高度となることを説明しやすくしている。 さて、アトピー性皮盾炎において進行する炎症反応は、今日、アレルギー性炎症という概念で説明されるのが一般的である。
その反応経路をごく単純化して模式図で示した。 ここでは、ダニ・アレルゲンが皮膚表面から侵入してきた場合を想定している。
アトピー性皮膚炎患者にダニ・アレルゲンによるパッチテストを行い、その陽性部位を詳細に検索することにより得られたものである。 まず、角層を通過し、表皮へ侵入してきたアレルゲンはランゲルハンス細胞に捉えられる。

アトピー性皮膚炎患者においてダニ・アレルゲンによるパッチテストを行い、アレルゲンの行方を経時的に追跡すると、ダニ・アレルゲンは貼布六時間後には表皮のランゲルハンス細胞に結合しているにすぎないが、二四時間後には表皮ならびに真皮に多数のダニ・アレルゲンを結合したランゲルハンス細胞が観察される。 アレルゲン結合ランゲルハンス細胞が増加することが免疫蛍光法により観察されている。
ランゲルハンス細胞はその細胞膜面に結合しているIGE抗体を介してダニ・アレルゲンを捉えると真皮へ移動し、そこでアレルゲンをプロセシング(捕捉したアレルゲンを細胞内で変性ないしは断片化)するとともにTリンパ球に抗原情報を伝える。 Tリンパ球はランゲルハンス細胞から伝えられた抗原情報を認識することにより活性化される。
アトピー性皮膚炎の病巣部に浸潤しているTリンパ球のほとんどはヘルパーT細胞であって、ランゲルハンス細胞から抗原情報を受け取ったヘルパーT細胞は活性化され、一連の遅延型湿疹反応を誘導するとともに、同時に遊離されたサイトカインの作用によりBリンパ球にIGE抗体を産生するよう指令を与える。 表皮へ侵入したアレルゲンの一部はそのまま真皮へ移行する。
真皮では、細胞膜面にIGE抗体を結合した肥満細胞がダニ・アレルゲンをいち早く捉え、みずからを活性化する。


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